パワードスーツ POWDER
学生の頃にパワードスーツのイメージを知ってそれが作りたくなりました。そして1986年上映の「エイリアン2」（原題’Aliens’）に登場した’Loader’（「パワーローダー」：映画上の架空特撮メカ）を見て、その気持ちは一層確かなものとなりました。しかし、当時は、それらを私的に実現するための器材、準備がありません。
その後、とてもゆっくりながらも準備は進み、ついに、「国際ロボット展」というよい機会を得て、2012年秋から具体的設計を始め、2013年春には右腕のメカが完成しました。 その後、準備の都合もあって右腕・右脚だけで行くこととなり、10月に全メカが完成、11月初めの国際ロボット展2013（11/6〜11/9））を迎えます。
パワードスーツ'POWDER'は重作業を意識した本格パワードスーツのプロトタイプです。伸ばした腕先で最大約60kgの荷を持ち上げることができます。万全な多重安全機構も備えています。災害救助や重荷運搬などを想定した、パワードスーツ本来の、Powerfulな力増幅機械を目指しています。
20リットル缶（鋼製）を伸ばした状態の片腕で持上げているところ。荷重は腕フレームから背フレーム、そして脚フレームを通して床に伝わるので、持っている装着者本人には加わらず、苦にならない(2013/11)。20kgであるがパワードスーツ無しでは伸ばした片腕先ではまず持ち上げられない。
国際ロボット展2013の際のブース（'POWDER'専用に１小間を取得して展示・デモを行った）に掲げたポスターの原稿。写真中、左手で持っているのは非常停止スイッチ。
開発中のPOWDER腕部
国際ロボット展の準備成った「パワードスーツラボ'POWDER'」のブース（2013/11/5）
ロボット展ブースでPOWDERをデモ(デモ装着者はTompei)
開催2日前の11月4日（月）のロボット展ブース準備。アルミクレーンの組立中。
開催前日11月5日。中央は期間中POWDER本体を吊下げ展示していたアルミクレーン
ほぼ準備成ったブース（11月5日）。左は控え・器材収納エリア
最終日11月9日（土）夕方のブース
国際ロボット展2013。デモ中のブースに集まる観客（最終日11月9日（土））
Tompei自らデザイン・制作のチラシ（表面）。左は主に招待券配布時添付用、右は国際ロボット展時配布用(2013/11)。
国際ロボット展2013の際に配布した2種類のチラシの裏面から
左右上の図・写真は、POWDERの発表用説明図（抜粋）
右列上段の図が、Powderの最優先目的として設定した災害救助作業の説明図(by
Tompei)。その作業の検討から、駆動パワー等の設計基準を設定した。そこから、重い瓦礫の撤去や、人の簡単な可搬ができる必要があり、上述のように、伸ばした片腕先で60kgを運び、上下できる程度の重作業用となった。なお、長時間連続作業/歩行用や、一般作業用、介護等用は、おもな目的としては考えていない。重作業用なので、脚部はあくまで足先の接地面迄の全体構造（自重や作業荷重を地面に逃がす）を目指している。
左列中段の図は、POWDERの各関節軸制御のための原理的な制御方式を示し（各関節軸は独立していて、複数軸間の連携はない）。
左列下段は、上の図のハードウェアの信号を、基本的に処理するおもにソフトウェアロジックを示す。
POWDERの発表用資料（論文原稿他）より
POWDER開発を始めるきっかけとなった偉大なパワードスーツたち（一方は製作された元祖、一方は実に本物的なSF機）
Hardiman
1968年に米国GE社が実際に試作した元祖パワードスーツ。電気サーボではなく油圧サーボで動いた。GE社の技術者Mosherが、ほかの搭乗型4脚ロボットなどとともに研究試作した。どの程度まともに動いたかは不明であるが、1968年にこのようなものを真面目に作ったことは画期的であり、そのチャレンジ精神には大いに敬意を払いたい。小型大出力駆動手段が油圧であった頃の産物であるが、わがPOWDERは要求パワーも小さく、ありがたくも高性能化した現在の電気モータ等のおかげで、だいぶコンパクトになった。
試験動作中のPOWDER （状況は下の動画参照。装着者はTompei）
Loader (ローダー)
1986年公開の映画「エイリアン２」（原題 'Aliens'）に多く登場する、巨大宇宙船内作業用として描かれたパワードスーツ（地上のフォークリフトに相当）。女性主人公が搭乗して右上写真のような現場で作業を行う（まともなCGがない頃の映画なので、映像は、よくできた特撮で作られていた）。その機体には、実在の建設機械メーカー米Caterpillar社のマークが付いていた辺りもなかなかであった。そして終盤には主人公はローダーに乗って凶悪なエイリアンと戦う（左上写真）。SF映画の産物とはいえ、高いリアリティのあったローダーを1986年に映画館で初めて観た時の感動は今も忘れられず、大きな動機づけとなった。
国際ロボット展2013におけるPOWDERデモと準備風景
