平成27年度富士総合火力演習その1

会場に入ってきた203mm自走榴弾砲。アメリカのM110榴弾砲をライセンス生産し、1984年から装備化された。自衛隊最大の火砲で、203mm37口径榴弾砲を搭載する。本体に弾薬は2発分、運用兵員は13名のうち5名しか搭載できないので下写真の87式砲側弾薬車の随伴が必要である。

99式自走155mm榴弾砲。52口径の長砲身榴弾砲を積む。射程は通常弾で約30km、長射程弾使用で約40kmにおよぶ。車重約40ton。

99式自走155mm榴弾砲の側方射撃。写真上左に弾体が写っている。スリット状の特徴的な砲口制退器（マズルブレーキ）が側方にも排煙を噴き出している。

FH-70 155mm榴弾砲の射撃。39口径155mm砲の最大射程は通常弾で約24km、長射程弾（ロケット補助推進）で約30kmである。

多数の榴弾砲からの、1/100秒単位で正確に同期された曳火射撃により、空中に立体的に横一直線を描き出した非常に難度の高いデモ。場外左方（約2,500m遠方）の特科陣地からの榴弾砲砲弾も含まれる。

上掲の横一直線をさらにすすめ、21門の火砲、弾薬の調整により、空中に富士山の形をきれいに描き出したところ。

120mm迫撃砲RTの射撃。発射された弾体が写っている。最大射程は通常弾で約8,100m、ロケット補助推進弾で約13,000mと軽砲の割に榴弾砲に迫る長射程である。下は遠方（約3,000m）の迫撃砲弾着。

中距離多目的誘導弾の射撃。誘導は赤外画像およびセミアクティブレーザーホーミングにより、最終照準は赤外画像またはミリ波レーダーで撃ち放しできる。高機動車と一体化したシステムとなっている。ミサイル弾体質量約26kg、全長約1.4m。

軽装甲機動車の上面から兵員が手持ちで発射する01式軽対戦車誘導弾。赤外線画像誘導式で撃ち放し能力（命中まで誘導し続ける必要がない）を有する。平成22年度までに1,000セット以上が配備されている。1セットの調達価格は約2,600万円とされる。

見事に着地した落下傘隊員。拍手が湧き起った。以上で前段演習は無事終了で、後段演習へと続く。

遠方の榴弾砲弾着。近いように見えて、観客席から3,000mくらい離れている。

155mm榴弾砲FH70と96式装輪装甲車。FH70は乗用車級エンジンを搭載していて最高速度20km/h程度で自走することもできるが、弾薬の搬送はできないのでトラック等の随伴が必要となる。

96式装輪装甲車。上は96式40mm自動てき弾銃を装備するA型、下は12.7mm重機関銃を装備するB型。

激しい普通科の総攻撃。右上では小銃てき弾が弾着爆発している（観客席から約500m前方）。

35mm機関砲で支援射撃を行う89式装甲戦闘車。左に曳光が写っている。90口径と長砲身で高初速のため、中口径砲ではあるが徹甲弾の威力は大きい。

TOW対戦車ミサイルを発射するAH-1Sコブラヘリコプター。TOWミサイルは有効射程約3,750mといわれる。但し、目標に命中するまで照準手は目標を追尾する必要があり、撃ったら撃った側は安全に退避できるいわゆる撃ち放し型ではない。

機首下の30mmチェーンガンで射撃を行うAH-64Dアパッチ・ロングボウ。チェーンガンの発射速度は約625発/分。機首下に排出された薬きょうが見える。主ローター軸上にロングボウ火器管制ミリ波レーダーを備え、多数の敵脅威を検知し、対戦車ミサイル等で最適な攻撃を指示できる。空対空ミサイル等も備えた総合戦闘能力を有することから戦闘ヘリコプターと類別された。

87式自走高射機関砲。近距離対空誘導弾の普及で存在価値が薄れつつあるが、主火器の90口径35mm機関砲の威力は大きく、搭載するレーダーシステムと相まってまだまだ部隊の近接対空防衛の要となっている。

87式自走高射機関砲の水平射撃。89式装甲戦闘車の35mm砲とほぼ同じ仕様で、徹甲弾も備えており、その威力は大きい。車体前部周辺に排出された薬きょうが飛散している。